さそり庵



イカロスは死せず

あれは……拒絶だよなあ……。



種明かしである。
最早語ることはなく、叫べば良いような気もするが、それは「飴玉ひとつを大切に」という当初の視聴コンセプトにもとる。まあ、振り返ってみようではないか。

まずわからないこと……角マントはみなとくんだった。それも、間違いなくあの温室にいたみなとくんだった。これは一体どういうことか? 6話の温室で、角マントとみなとくんは確かに邂逅した。その『二人』が、何故ひとつに重なる?
9話ラストで、みなとくんはすばるに別れを告げていた。エンジンの欠片に触れることでみなとくんの自我が消滅し、角マント、つまり呪いの方に吸収されたということなのか。今はただ、みなとくんが得た情報だけが呪いの中に残っている、とか? いやいや、成層圏ですばるを抱き締めたときの様子からして、角マントとみなとくんの意識は深いところでつながっていたという推測もできる。その『二人』が何故ひとつに重なったのか、繰り返しになるが、まだわからない。

わからないことその二。病室に残ったみなとくんは何者だ?
エルナトに出会ってからのみなとくんは、自分が本来辿るべき運命線(=死の運命)から離れていた。エルナトのいう魔法とはそのことで、みなとくんがエンジンの力をすばる(本当は出逢ってもいない)のために使おうとしたため魔法を解き、本来の運命線に連れ戻した。自分の運命を知ったみなとくんは激昂し、そして呪いとなった。
そちらはわかる。では、「可能性のかけらと共に眠りについた」というみなとくんは? 生命維持装置をつけていた彼が、なぜ床で膝を抱えている?
推測するとしたら、あれはエンジンに向かって飛んで行った(=呪いに変わる)みなとくんの分身ということか。実はあのとき、ベッドの上にもみなとくんはそのままいて、後にすばるに出会うのはこの分身の方だった。分身を生み出したのは、恐らくエルナト。真実を知ったみなとくんが自分を呪わない運命線を呼び出し、眠りにつかせたのではないか。でなければ、純粋な肉体としてそこにあったはずのみなとくんが、いきなりあの温室にいるのは奇妙だ。
その目的が、幻でない本当の希望に彼を引き合わせるためだったのかどうか、そこまではわからないのだが……。

ついでに言うと、9話ですばるが思い出したみなとくんと、温室で出逢ったみなとくんは別の運命線の住人らしい。プラネタリウムの有無でわかる。が、9話のみなとくんは温室の彼と同じ『魔法』を使っていた。ということは、すばるが病院で逢ったのはエルナトによって魔法使いになり、かつ自分を呪わなかったみなとくんということなのか。彼は今どうしているのだろう?

わからないことその三。何故角マントは変身後のすばるがわからない?
仮面をつけていたり光の巨人になったり、プリキュアみたいに思いっきり面変わりしているわけではない。少なくとも作画上は
角マント、本当はわかっていたんじゃないのか。わかった上で拒絶していた。すばるが変身を解くときも、その行動に驚きこそすれ、彼女の正体を知って戸惑う様子は見られなかった。例えば、臆病者のプレアデス星人に協力しているすばるが許せなくて、拒み、ポンコツ呼ばわりまでした……とか。

うーん駄目だ、謎解きは苦手なタチである。そろそろ頭が回らない。
ただ思うのは、角マントくんの心の内だ。彼の目的は、可能性の欠片たちを引き連れてこの世界から消えることだという。が、元々彼は過去を変えようとしていたはずだ。この変化はいったいどこから来たのか?
「希望が僕を苦しめる」と彼は言った。彼の言う希望とは何か……恐らく、すばるのことだろう。彼女とともに未来を進みたいと願う気持ち、すなわち希望。その希望が、未来を持たない彼を苦しめる。こんなに美しいものがあるのに、自分はそれに手が届かない。願いは叶わない。それはちょうど、誰もが抱く夢と同じだ。スポーツ選手。俳優。マンガ家。何でもいい。手を伸ばせば届くように見えたのに、追いかけるにつれ、時間が経つにつれ、どんどん遠ざかる。なのに、見える。手の届かない眩しさが苦しい。仮面ライダー555では、それをこそ『呪い』の名で呼んだ。
彼も同じなのだろう。エンジンを支配すれば過去を変えられる。でも、意識が無くなるほど求めても、それには手が届かなかった。太陽を目指したイカロスは蝋を融かされて墜落死したが、彼は処刑台を自分で用意しなくてはならない。自分で自分を殺さなければ、太陽の美しさとそれに届かない自分とに、永遠に苦しめられることになる。

最後にすばるに呪いをかけて、彼は消えた。が、これきりということはあるまい。
その結末を、そして、太陽で得た確信を揺るがせにしてしまったすばるを。背を押してくれる「馬鹿」どもを。
残り2話。見守るだけだ。
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by sasop | 2016-06-08 11:43 | 放課後のプレアデス
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